◆<速報>北村議長がフィリピンに関する事実誤認発言を撤回・謝罪◆

識字率への言及の不適切性は認めず

管理人の中村佳太です。

本日(2024年4月17日)午後に開催された全員協議会を傍聴してきました。

今回の全員協議会は、管理人が3月19日に大山崎町議会宛に提出していた『北村吉史議長のフィリピン共和国に関する事実誤認発言についての申入書』を議題として開催されたものです。

この申入書は、当サイトでも2月12日のブログに書いた北村吉史議員(議長)のフィリピン共和国に関する発言について撤回等を求めるものです。

以下に申入書の全文を貼ります。

令和6年3月19日 大山崎町議会  御中   北村吉史議長のフィリピン共和国に関する事実誤認発言についての申入書  【申入の趣旨及び理由】   私は、大山崎町議会議長である北村吉史議員によるフィリピン共和国に関する事実誤認発言について、議長および議会が適切な対応を行うよう申し入れます。   北村吉史氏は令和5年9月19日開催の全員協議会においてフィリピン共和国ファミー市との友好都市提携に関する議論をする中で、フィリピン共和国に関して事実と異なる内容の発言を行いました。以下に発言内容を示し、その後事実誤認の点について記します。  <発言内容(会議録より抜粋)>※誤字脱字は原文ママ  「町長に僕ちょっとお尋ねしたいのは、どうしてこのフィリピンを選ばれたか、これちょっと、全協やから皆さん認識しておいていただきたいんだけど、フィリピンのその識字率見たときに、いわゆる文盲率ですわ。 結構高いんですよ。特に女性。例えば成人女性の文盲率44.6%。半数近く。高齢女性の文盲率59.2%、60%これはタガログ語も含めてです。ほとんど言葉をしゃべれない。しゃべれるけども文字が書けない、文字が読めない、こういう状況ですね。若者女性の文盲率30.6%、3割強です。こういう状態で、ましてこれジェンダー平等の世の中でジェンダー平等になってない、そういう国みたいです、これ見てると。 というのは、若者の識字率の中とか、いろいろ出てくるんですけども、女性の識字率しか出てこない。チェックさせていただ。 そういう状況の国を、これは全体ですけど、そのファミーというまちがどんな文盲率になってるか、識字率になってるか、こういうとこを全部チェックされてるんですか。 (中略) 教育レベルも違うし。この識字率というのは、はっきり言って、ここに書いてあるんですよ。日常生活中の短い簡単な文を理解して読み書きをすることができるのが識字率。日常の簡単な文章を理解して読み書きをすることができる。重ねて言います。それが、できない人が非常に多いと思いというのがこの国のデータが出てるわけです。それを見たときに、ちょっとやっぱりどうかなという思いはあります。私はね。」
<事実誤認について>  当該発言の事実誤認の点は以下の通りです。  フィリピンの識字率は高水準 外務省のウェブサイトによるとフィリピンの識字率は「96.3%(2019年国連教育科学文化機関)」とあり、世界でも高水準です。「フィリピンの識字率が低い」「日常の簡単な文章を理解して読み書きができない人が非常に多い」というのは事実と異なります。  若者の識字率は男女共ほぼ100% ユニセフの「世界子供白書2023」によると、フィリピンの若者の男女別の識字率は「女性99% 男性98%」です。友好都市事業に関して「児童・生徒同士の交流により英語教育を推進する」と町は主張していますが、少なくともその年代の識字率を問題視するのは適当ではありません。また、このように男女別の識字率についても調査が行われており、「女性の識字率しか出てこない」というのは事実と異なります。  フィリピンは世界でもジェンダー平等な国 世界経済フォーラムが発表した「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)2023年版におけるジェンダー平等ランキングで、フェリピンは世界16位(146カ国中)であり、アジアの中では最もジェンダー平等な国とされています。少なくとも125位の日本よりはジェンダー平等な国です。「ジェンダー平等の世の中でジェンダー平等になってない、そういう国みたいです」というのは事実と異なる発言です。   この発言については京都新聞や京都民報によってすでに報道され、多くの人が知るところとなっています。このような事実誤認の発言を議員ましてや議長が行ったことは、フィリピン共和国の評判を貶めると同時に、議員・議長としての認識・国際感覚が問われます。とはいえ、まずは一刻も早くこの発言を撤回し、この発言が事実と異なることを公に示すことが必要です。   また、この発言を聞いていた他の議員らがこれまで半年もこの件を放置してきた責任も重大です。すぐに問題を指摘し、北村吉史議員に撤回を求める必要があったでしょう。新聞報道が出た後、本年3月5日の議会改革特別委員会において井上治夫議員から撤回の要求が出されましたが未だに撤回はされていません。このままでは、大山崎町議会全体が今回の問題発言を見過ごすような議会であると認識せざるを得ません。   この件は、政党や会派、政治信条の違いなどは関係の無い問題です。あくまで「議会で行われた他国を貶めるような事実誤認発言を政治家が見過ごしていいのか」が問われる問題です。   北村吉史議長および議会は、早急に適切な対応を行う必要があります。


【申入の項目・内容】  発言をした当人である北村吉史氏が当該発言を撤回すること  1が行われず、北村吉史氏に撤回する意思が無いと判断された場合、議会として「北村吉史氏の発言に事実誤認が含まれていた」ことを公式に認定すること  1の「北村吉史氏による撤回」もしくは2の「議会による事実誤認の認定」が行われた場合、それを広く周知すること  1および2の両方が行われない場合、その理由を明らかにし申入者に提示すること        【申入者】 中村佳太(なかむら けいた)

この申入書について検討するために開催されたのが、本日の全員協議会です。

なお、一般傍聴者は8名ほどでした。

北村議長は発言を撤回・謝罪

会議の冒頭、北村吉史議長は「一連の発言を撤回する」としたうえで、「ご迷惑をおかけしたこと」および「不快な思いをした全ての人」に対して「お詫びする」と述べ、当該発言を撤回・謝罪しました

その上で、事実誤認発言に至った経緯について「とあるWEBサイトに掲載されたデータを誤認した。軽率であった」と説明しました。

識字率について言及したこと自体は撤回せず

その後議員による質疑が行われ、朝子直美議員・辻真理子議員・堀内古比呂議員から、「事実誤認以前の問題として、友好都市の相手として“ふさわしいか”の議論において識字率に言及したこと自体の不適切性も認めるのか」との質問が相次ぎました。

それに対し北村議長は当初「データを確認することは問題ない」などと明確な回答を避けていましたが、「今後も識字率を友好都市選定の判断材料とするのか?」と問われ、最終的に「一議員として判断材料とすることはあり得る」と回答しました。

撤回までに時間が掛かったことについて

堀内古比呂議員から「(今年の)3月に共産党議員団からも撤回の申入を行った。撤回に時間が掛かり今のタイミングになったのはなぜか」との質問がありました。

北村議長は「様々なところから指摘を受けた。あらためて数字の確認などを行っていたが、それに時間が掛かった」とのことでした。

管理人の意見・感想

北村議長が明確に撤回と謝罪の言葉を述べたことは、(当然すべきであるとはいえ)率直に良かったです。曖昧にせずに、しっかりと誤りを認めて謝罪や撤回をすることは、政治家として大切なことだと思います。

 

また、「町民の声が議会を動かした」という事実も大きなポイントだと思います。管理人が議事録を情報公開請求してこの発言の問題を指摘して以降、複数の報道で町内外に広く知られることとなったこともあり、多くの町民から怒りの声が上がっていました。今回の申入書についても、複数の町民が賛同の意見を町に対して送ってくださったと聞いています(ありがとうございました!!)。

こうした町民の声が議長による発言の撤回につながり、「議論は事実に基づいて行われなければならない」という当たり前のことを議会が認識するに至ったことは、今後の議会での適切な議論のためにも大変に重要なことだと考えています。


ただ、北村議長が「今後も識字率を友好都市選定の判断材料とすることはあり得る」と述べたことは大変大きな問題です。

世界には様々な文化や制度を持つ国や地域があり、それぞれの国や地域がそれぞれに様々な事情を抱えています。そうした中で「友好都市」となってもらう相手の都市に対して、その識字率を選定の材料にするということがどれだけ相手の都市の見下し蔑む行為なのかということは逆の立場になって考えてみるまでもなく分かることのはずです。

北村議長はその意識・人権感覚を根本的に見直す必要があります。

 

最後に、管理人は申入の項目3として「撤回が行われた場合、それを広く周知すること」としていました。しかし、本日の全員協議会においてはこの「周知」に関しては全く議論が行われませんでした。「議長が発言を撤回した」という事実は議会にとって大変に重く、大きな出来事です。今後の選挙においても判断材料とされるべきことでしょう。その事実を議会は町民に広く知らせる責任があります。

管理人は本日の会議終了後、議会事務局に対し撤回の事実を町民に広く周知するよう口頭であらためて申入を行いました。具体的には『議会だより』への掲載もしくは来週4月24日(水)に行われる議会報告会での周知等を検討するよう申入れました。

議会が適切な対応を取ることを願います。

管理人・中村佳太