◆<重要>「懇談会適用内規」の問題点について◆

傍聴メモ_議会運営委員会(12月22日)

こんにちは。管理人の中村佳太です。

2023年12月22日に開催された大山崎町議会・12月議会本会議(最終日)と、そのすぐ後に開催された議会運営委員会を傍聴してきました。どちらもここで報告したいことがたくさんあるのですが、本会議については別記事で書くことにして、まずは議会運営委員会について報告させてください。

というのも、この委員会で重要かつ大きな問題を含む資料が明らかになったからです。
※議会運営委員会の一般傍聴者は私ひとりでした。

「懇談会適用内規」の衝撃

その資料とは、委員会へ提出された「代表幹事会承認事項 2023-12-20確定 懇談会適用内規」と題された文書です。

この文書は、住民からの要望に応じて議会が開催する「大山崎町議会と町民との懇談会」について、そのルールを定めた内部資料です。「内規」なのでホームページなどで公表されるルールではなく、議会が内々に定めたルールです。また、このルールを決定した「代表幹事会」とは各会派の代表者のみが参加する会議で、原則開催日時などは公表されず、傍聴もできません。つまり、住民が見えないところで、議会と住民との対話の場である懇談会についての内々のルールを定めたということです。

この文書が傍聴席の閲覧資料の中にあったのですが、その内容を見て私は衝撃を受けました。とんでもない内容だったからです。

私が特に問題だと思い、その場で慌ててメモした内容を抜粋して記します。

①(参加議員は)議会として発言し、議員個人の考えは発言しない

②組織的かつ財政を無視した一方的な要望活動と判断される懇談会は開催を控える

③一般傍聴は認めない。参加住民による録音・ビデオ撮影は認めない。ただし、議会側は記録のため録音することができる

④参加住民からのSNSによる公開質問状などには回答は一切控える。ネット上では情報が独り歩きするため

⑤懇談会が混乱した場合は速やかに中止することが出来る

急いでメモした内容を元にしているため、順番も文言等も一部異なりますが、内容にズレはありません。なお、この資料について委員会終了後すぐに担当窓口へ行き情報公開請求を行ったので、近いうちに手元に届くはずです。届き次第、このサイトで全文公開します。

内規の問題点

説明は不要かもしれませんが、私の視点でのこの内規の問題点を整理しておきます。

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<項目①:(参加議員は)議会として発言し、議員個人の考えは発言しない>

多くの場合、住民は「議員ひとりひとりの考えを知りたい」、「様々な考えを持つ議員と対話したい」と思って懇談会を依頼するはずです。議員個人の考えを聞けなければ意味がありません。それに「議会としての発言」しか聞けないのであれば、議長(現在は北村吉史氏)ひとりが出てくればよく、そもそもそんなものは懇談会とは言えないでしょう。

<項目②:組織的かつ財政を無視した一方的な要望活動と判断される懇談会は開催を控える>

この項目は特に重大な問題です。

まず、懇談会の申込み条件には「おおむね6人以上の町民グループ」とあります。つまり、複数人からなる住民グループからの申込みを想定した制度です。「組織的」と判断されるのはどのような場合でしょう?

次に、財政に関係しない要望など存在しません。「財政を無視した」と判断されるのはどういう場合でしょう?

さらに、「一方的な要望」とはどういう場合を指すのでしょう?住民から議会への要望が、なぜ一方的であってはいけないのでしょう?制度設計や最終的な予算承認は議会が行うわけで、そのために様々な立場や状況にある住民がそれぞれの要望を伝えることは一方的なのでしょうか?

この項目は、「組織的である」「財政を無視している」「一方的である」などと議会側が判断すれば懇談会を拒否できる内容となっており、さらにその判断基準も明確でありません。つまり、議会側にとって都合の悪い懇談会は何なりと理由をつけて断れるようになっています。

このようなルールは極めて恣意的かつ一方的であり、到底受け入れられるものではありません。

<項目③:一般傍聴は認めない。参加住民による録音・ビデオ撮影は認めない。ただし、議会側は記録のため録音することができる>

対話を成立させるために参加住民の人数を絞ることに全く合理性がないとは言いませんが、傍聴まで認めないというのは合理性を欠きます。傍聴者を受け入れるかどうかは懇談会を要望した住民側が判断できるようにすべきでしょう。

さらに、参加住民による録音・ビデオ撮影は認めず、議員側だけが録音を保存しているという状況も、後に懇談会での発言が問題となった場合に議員側に有利に働きます。

議員側が録音するのは「参加していない他の議員と内容を共有するため」という話があったのですが、住民側も参加しなかった/できなかった人と内容を共有したいのは同じです。

また、委員会終了後に井上博明議員に「なぜ住民側は録音してはいけないのか」と訊ねたところ「切り取られるからだ」との回答でした。対話である以上、切り取られると困る場合があるのは議員側も住民側も同じです。だからこそ、お互いのためにも双方が録音を保持しておく必要があるのではないでしょうか。

<項目④:参加住民からのSNSによる公開質問状などには回答は一切控える。ネット上では情報が独り歩きするため>

参加住民が懇談会に関して後から議会や議員に質問状を送れることは当然の権利です。それを公開で行うことも同様に住民の持つ権利です。「一切回答を控える」とあらかじめ議会側がルールを決めることは、住民の権利の侵害であり、決して許されません。

また、このルールが適用されると、参加住民からA議員に対して出された公開質問状についてA議員が「回答したい」と思ったとしても、A議員は回答してはいけないことになります。これはA議員の自由な議員活動を制限するものであると同時に、住民とA議員との議論の機会を議会が不当に制限することでもあります。

<項目⑤:懇談会が混乱した場合は速やかに中止することが出来る>

これも極めて危険なルールです。

「混乱した」と決定するのは誰なのか明記されておらず、さらに「混乱」の定義も書かれていません。これでは、例えばある住民が少し語気を強めて質問したら「混乱した」と判断して中止するなど、恣意的な運用が可能です。議会が議論を逃げるために利用することも可能なうえ、住民側の発言を萎縮させる効果もあります。

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以上のように、この内規の定めるルールは議会と住民との対話の形をゆがめる極めて危険な内容となっており、即刻破棄すべきものであると考えます。

なぜこのような内規が定められたのか

そもそも、なぜこのような内規が作られることになったのか。

これは明確です。私自身も関わった、ある懇談会を巡る一連のやり取りがその原因となったことは間違いありません。

今年の6月、大山崎ライブラリーフレンズのみなさんの要望により、図書室・図書館についての懇談会が開催されました(私も誘われて参加しました)。その際、懇談会の進め方や参加者などに議会側と大山崎ライブラリーフレンズ側の間で認識違いがあったようで、懇談会の最中に山中一成議員が不満を漏らして途中退席し、さらに翌日、自身のSNSで参加した住民を誹謗するような投稿をしました。

これに対して、私を含む一部の参加住民が山中議員へ抗議文を提出しました。が、無視されたためにしかたなく山中議員の所属する会派「大山崎クラブ」に質問状を提出。これも無視されたため、今度は議会に対して山中議員を処分するよう求める嘆願書を提出しましたが、結論は「議員個人の活動に関して議会として処分は出来ない」とのことでした。
※各文書の内容を含めた一連の流れは、私のツイッター(X)の投稿からさかのぼって確認できます。

6月の懇談会の際、一部の議員から「懇談会は住民が議員に一方的にプレゼンする場ではない」との声があったと聞いています(実際にはこのときの懇談会は前半がプレゼン、後半に意見交換の時間が設けられており、「一方的にプレゼン」というのは不正確です)。今回の「懇談会適用内規」には「参加住民からの質問状」や「一方的な要望活動」などと書かれていることから、このときの一連のやり取りを受けて策定されたことは間違いありません。

さらにいうと、少し前にある関係者から「6月の懇談会のとき調整不足により色々と問題が起こったから、現在議会として懇談会のルールを定めようとしている」との声を聞いていました。このことからも6月の懇談会が今回の内規の内容に影響を与えたことは間違いありません。

つまり、懇談会をきっかけに住民からの批判や反論にさらされるのを避けるため、あらかじめ自分たちの身を守るためのルールを作ったということです。

※6月の懇談会と内規策定の関係が不明確であるとの指摘をうけ、一部文言を追加しました(2023/12/25 13:18)※

提出されている3つの申込みについて

それは、この内規を策定するためだったと考えられます。

ただし、内規の策定前にすでに3つの申込みがあったそうで、この日の議会運営委員会ではその取り扱いが議論されました。

結論としては以下の通りでした。

・申込みがあった3つの懇談会はすべて議会として受けることとする(開催する)

・この3つは今回の内規を策定する前に申込みがあったため、内規をそのまま適用することはできない

・ただし、この内規は現時点での議会の考え方であるため、その内容を受け入れてもらうよう個別に各申込者と協議する(12/25以降に各申込者に連絡する)

最後にお願い

私は、この内規の内容は決して受け入れてはいけないものだと考えています。

この内規を認めれば、住民と議会との貴重な対話の機会である懇談会が、議会の都合の良い形にゆがめられ、大山崎町の民主主義にとって大きなダメージになります。

これを読んだみなさんにお願いです。

まずはこの記事をシェアしてください。
さらにもし可能であれば、議員に働きかけたり、疑問点や不安な点を議会事務局に伝えたり、できる限りのことをしてください。

大山崎町議会は住民の声を聞かない方向に向かっており、どんどん悪化しているように感じています。

その象徴が今回の「懇談会適用内規」です。

もし誰もこの日の委員会を傍聴せず、誰も知らないうちにこの内規の運用がスタートしていたらと思うとゾッとします。

この状況を改善するには住民の声が必要です。

どうかよろしくお願いします。

私も出来ることを考えて、実行していきます。

管理人・中村佳太